【 奨 励 賞 】

【テーマ:仕事探しを通じて気づいたこと】
仕事と向き合うとは
東京都  佐 山  碧  32歳

新卒で入社した会社で働き始めて、早くも9年目となりました。大学3年時に就職活動を始めて、当時の私は、色々な会社を回りながら社会の仕組みや其々の役割を学びました。知れば知るほど、自分が今まで如何に世間知らずだったかに気付き、「働くとは何か」、「社会に出たら何がしたいのか」と様々な問いかけを、自分自身に何度も何度も繰り返した記憶があります。アルバイト程度しか社会経験も無く、人生の先輩方から様々な話を聴きながら懸命に想像を膨らませていたような気がします。今まで20年生きてきた自分の人生を振り返り、価値観や自分にとっての大事なものを見つめ直す自己分析の作業をしながら、将来の自分に重ね合わせていました。今思えば、あれほど自分がどういう人間か考えたことは今までの人生で無かったように思います。

その後働き始めていわゆる中堅層と呼ばれる年次になってくると、10年前の学生だった自分と異なる視点を持っていることに気づきました。3年目頃迄は新鮮なことばかりでがむしゃらに頑張る自分がいましたが、9年目になると良い意味でも悪い意味でも業務に慣れ、自分の立ち位置を考えながら振る舞い、仕事への熱意の向け方が以前とは異なる自分がいました。このエッセイを書きながら、大事なものを忘れがちになっている自分がいることにも気付かされました。仕事をしながら自分の価値観や未熟さ、色々なものを認識し、また、なぜ自分はつらい思いをしながらも日々働き続けているのかと考えても、明確に指針を持てていない自分もいました。周囲の環境にも慣れてしまい、適当にやり過ごす自分、それでは日々が充実しているとも成長しているとも言えない、と改めて感じました。

若手の皆さんに是非お伝えしたいことは、自分にとっての働く意義ややりがい、就職する時に思い描いていた将来の自分の姿、を忘れないようにしてほしいということです。やりたい仕事や理想の姿は勿論変わって然るべきと思いますが、根本的に「働く」ことへの意識や意欲が薄れてしまうようでは、恐らく日常がつまらないもの、無味になってしまいます。人生の中で仕事に充てる時間は多いため、そのような姿勢では折角の時間がもったいない、そして自分自身の成長や日々の充実にはつながらないはずです。今の自分の在り方や将来のキャリアについて時々考えて、時には悩みながらも、目の前の業務や忙しさに流されてばかりではなく彩ある日々を過ごしてほしいと思います。個人的には、正解も無くゴールも無い、つまり限界のないものであるため、その分仕事は面白いのだと思っています。どんな道を選んでも、不条理なことも大変なことも恐らくあります。然し、しっかり自分自身と向き合いながら選択をしていけば、きっと振返った時に後悔は少なくなるでしょう。このことを若手の皆さんにお伝えすると共に、自分自身も「初心を忘れずに」一歩ずつ成長していきたいと思います。

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