【 佳   作 】

【テーマ:現場からのチャレンジと提言】
病と作業所
岡山県  岩 崎  薫  56歳

「統合失調症です。一生、薬を飲み続けて下さい。」とドクターは言いました。

私は、30代の半ば、浅口市にある「菩提樹」という作業所に通うことになり、障がい者手帳を作りました。バスで1時間、電車に乗ること30分、待ち時間を入れて、約2時間かかる作業所に1年間、通いました。

最初は、布を切る、たたむ、ひもで結ぶという簡単な内職でしたが、ミシンを踏んだり、くるみボタンを作ったり、最後には、指導員さんと、一緒にケーキやクッキーを作って、販売しました。

1年経って、私の人生初の一人暮らしが、始まりました。しんどい時は、実家の母に電話をかけて、車で迎えに来てもらい、両親のいる自宅で過ごしました。

作業所には、全部で10年いきましたが、その間、入退院を繰り返しました。生きているのかいないのかも、わからないという感じが、頭をほとばしり、私は何の為に生まれてきたのかと思ったりもしました。

10年間の中で、1ヶ月のお給料が1万円を越えたことは、一度もありませんでした。

でも、毎月のお給料を私は、貯金していました。そして、その積み重ねが少しまとまったお金となりました。

お金の大切さを知った時でも、ありました。沢山のお金、たとえば、10万円持っていたらまだあると思って、使ってしまいます。

でも、2千円しか持っていないとすると、その2千円を少しずつ大事に使います。

働いてお金を稼ぐということは、簡単な事ではありません。苦労して得たお金は、有難い宝物です。

今、私は、いわゆるA型作業所と言われる所で働いています。

障がい者年金とA型作業所のお給料が私の生活費の源です。おこづかい帳を付けて、無駄使いしないように心掛けています。

いつまで、働けるかは、わかりませんが、元気なうちは、働きたいと思います。

これからも、お金を大切にして生活しようと思います。

戻る