【 佳   作 】

【テーマ:仕事探しを通じて気づいたこと】
人の役にたちたい
青森県  松 橋 倫 久  41歳

私は、統合失調症という精神障碍を抱えています。元々は青森県庁に勤めていたのですが、病状が悪化し、退職しました。経過はあまり良くないのですが、障碍者枠での就職活動をしていました。

就職活動をしていたといっても、連戦連敗です。一般企業の障碍者枠であるとか、就労継続支援A型といった福祉的就労など、いろいろと応募してみて、面接も受けてみるのですが、いよいよ働き始めるという所になると、どうしても具合が悪くなってしまって、これまでに何度も就労に失敗しています。

外で働くのは難しいなと思い、途中からは発想を切り替えて、在宅ワークの仕事を探すようになりました。なんとか契約してくれるところが見つかり、ぽつぽつと仕事をしています。

私は、障害者年金を受給させていただいていますので、経済的には仕事をしなくてもなんとかやっていけます。でも、仕事をしたいなと思います。県庁にいるときは、朝出勤するのも億劫なことも多かったのに、仕事を辞めたとたん働きたくなるのはなぜなのだろう。自分でもとても不思議に思います。

働くってことは、傍を楽にすることです。つまり人の役に立つことなんですね。人の役に立ちたいという願望は、普通の人は結構持っているのだと思います。年金を受給して、社会に貢献できないのは、肩身が狭い。直接誰かに責められたという経験はないのですが、やはり働かないことはコンプレックスになります。そういうことが、仕事探しへ向かわせているのだと思います。

今の僕にできることがあるのかどうか、考えさせられます。在宅ワークの仕事は、個人事業主としてやっていかなくてはならないので、屋号を決めて、信用金庫で屋号の通帳も作りました。法人ではないので、会社を設立したわけではないのですが、なんだか社長になったような気がして、嬉しかったのを覚えています。

仕事探しを通じて気づいたことは、やはり僕も仕事を通して社会に貢献したい、社会に影響を与えたいと思っているのだということです。僕はそんなに人の役に立ちたいと思って生きてきたわけではありません。ボランティアもしたことがないですし、NPOのようなものに関わったこともありません。でも、人の役に立ちたいということは、人間の基本的な欲求なのだと思います。人は一人では生きていけません。それゆえに、人に対して貢献したいという欲求が自然と生まれるのだと思います。

僕の今やっている在宅ワークというのは、文字おこしと呼ばれる分野で、もちろんどこかで人の役にはたっていると思うのですが、はっきりとそれを認識できるようなおしごとではありません。なので、もっと直接感謝されることを実感できるような、特に同じ障碍の人の助けになるような仕事をしてみいと思っています。

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