【 奨 励 賞 】

【テーマ:仕事をしたり、仕事を探したりして気づいたこと】
人生を豊かにする方法
東京都 伊 藤 里 佳 26歳

働くって、なんだろう。実はこのテーマについて真剣に考えたことが人生で2回ある。1回目は高校 生の時、初めてのアルバイトで上手く行かず落ち込んだ時だ。働くということ、お給料を頂くことに対 して、年齢や経験は言い訳にならない。自分の行動に時給が発生する意味を初めて知り、世間は甘くな いと痛感した。2回目は5年前で就職活動時代だ。所謂、就活の軸というものは、自己成長だった。自 己成長した結果、稼げる営業担当者として大きな収益を上げたい。働くことを通じて会社から必要とさ れる人間になりたいと考えていた。今から思えば就活生らしいマインドだったのかもしれない。そして、 社会人4年目も半年が経過しようとしている今、働く意味について改めて自問してみる。


私の中の答えは、自己成長すること。この軸は学生時代と変わらない。しかし、決定的に違うことが ある。それは自己成長の先にある目標だ。学生時代の私の目標は会社から必要とされることだった。し かし、今は違う。会社から必要とされる人間になる為には、自分が強くなり、自己完結能力が必要不可 欠であると気付いた。また、何かを成し遂げた時に込み上げる達成感と、心が満たされる間隔を知って しまった。今の私は自己成長の先にある目標を、達成感を感じる瞬間の増加、人生を豊かにすることと 置いている。


私の会社は、個人の年間収益目標がある。なんとか達成すべく、必死に毎日を積み重ねている。どん なに小さな収益でも、成果が出たときは涙が出る位嬉しいし、やった、とガッツポーズしたくなる。こ の収益を計上するためにどれくらい苦しかったかと考えると、自分をほめてあげたくなる。そして、次 も頑張ろう、今度はもう少し大きな収益を狙おうと、新しい目標を立てる。しかし、上手く行かないこ とが大半だ。挫けそうになる事、全て投げ出して逃げたくなる事だってある。そんな苦しい経験を99積 み重ねたら、残りの1には、きっといい事が待っているという成功体験を励みに頑張るしかない。自分 で選んだ仕事だ。世の中は自分が働きたい会社で、仕事ができる人ばかりではない。私は幸せだ。何を しても困難な壁はあるけれど、自分で決めた道の中でぶつかる困難からにげている様では、何をしても、 どこに行っても逃げ続ける人生だと思う。トライアンドエラーを繰り返しながら、地道乍らも一歩ずつ 進むしかないのだと思う。

今の部署には後輩がいて、曲がりなりにも仕事を教える年次になった。去年まで先輩に聞いていた事 を、今は私が後輩に教えている。自分の成長を感じて嬉しくもなり、まだまだだと反省することも多い。ただ、その中でも前を向いて踏ん張ることができるのは、仕事で上手く行ったときの達成感を知ってい るからだ。この感覚を再び味わいたいが為に、必死になる自分がいるからだ。最近では仕事のやりがいを感じる瞬間も増えてきた。会社に貢献するという気持ちの余裕は、今の私には未だないけれど、目の 前のやるべき事を積み重ねて自己成長を続けていきたい。そして数年後の自分に胸を張って報告できる ようにしたい。


苦しいことも多いが、その経験が人生を豊かにする。それが仕事だと気付いた。

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