【 奨 励 賞 】

【テーマ:さまざまな働き方をめぐる、わたしの提言】
人生百年の働き方
茨城県 かつみ 友 次 54歳

私は、今年55歳になるサラリーマンです。普通高校を卒業して大手電機関連の会社に就職し、エンジ ニアを経て管理職になっています。苦労もありましたが恵まれたサラリーマン人生を送って来られたと 思います。多少の程度の差はあれ大方のサラリーマンは第一線の担当者から最後は組織を運営する立場 になって目出度く定年を迎えるというのがこれまでの日本企業におけるステレオタイプでした。しかし、 最近は少し違ってきています。

定年を迎えた後も退職して悠々自適とはならずに、シニア社員で残ったり、別の会社に再就職したり して生計を維持していかなければならないのが現実だからです。

寿命が延びていくにも関わらず社会保障システムが追い付いていないのが原因であると思います。そ の過渡期で働き方に問題が生じています。それは、一度管理職を経験した人が、また、第一線で仕事がで きるかというとそうではないからです。悪く言えば、口は出すが手は出さないのが管理職。それを長年 経験した人がもう一度第一線でやることに大きな壁があるのです。頭で分かっていても、体力・気力勝 負で若い人に伍して仕事ができない分、どうしても口での勝負になってしまいます。そうすると、チー ムワークといった点でも孤立してしまう。私はそんな人を多く見てきました。

私は、定年を機に一旦これまでの仕事を離れるということが良いと思うようになりました。人生百年 と考えると60を過ぎたところでもう一度人生設計をし直さないと「ああ幸せな人生だったな」というようには到底なり得ないでしょう。

50歳を過ぎた頃から、漠然と次の人生に向けて考えてきました。それまでは会社が優先の生活でした が、少しずつ地域活動やボランティア活動などにも参加してこれから先のことを模索し始めました。

先日、若い頃に諦めた青年海外協力隊のシニア版の説明会に参加する機会がありました。シニア協力 隊OBの方々の体験談を聞いて、「これだ。これしかない」という思いを強くしました。自分のこれまで の経験を十分に活かし、新たな遣り甲斐を持って社会貢献もでき、夢であった異文化体験も可能である。

私は今からこの挑戦にワクワクしています。

そう思うと、これからの残りの会社生活も精一杯やり遂げたいという気持ちにもなれました。

人生百年と考えると、2度や3度の転機は当然と思えるようになりました。定年後にまた学業を積ん で新たな可能性に挑むことも可能と思えるようになりました。そんなことを夢に描き、実現に向けて進 むことでシニア世代や若者へも何かメッセージとして伝えたい。

そんなことに情熱を燃やし始めています。

戻る