【佳作】

【テーマ:さまざまな働き方をめぐる、わたしの提言】
若い人たちに伝えたい
大阪府 加 藤 健 人 68歳

私は現在68歳で年金暮らしです。私の考えが若い人たちにどれくらい役に立つか分かりませんが、述 べさせて下さい。

 

若い人たちは、これから色々な仕事に就くことでしょう。もう既に何かの仕事を始めている人もいる でしょう。現在は若い人を雇う人たちもセッカチで自分も仕事に追われていることが多く、若い新人に すぐに結果を出すことを求めることが多いようです。職場で早く仕事上の良い結果を出すことを求めら れることが多いようです。しかし若い人たちは、先ず仕事の基本を習得することが大切です。私が以前 に働いていた旅行会社でも早くお客を見つけるように言われ、中には自分の親類や知人に頼んでお客に なってもらう人もいましたが、そういう人たちは、その時は会社から誉められましたが、すぐにお客が いなくなりました。そして最初は自分の営業力でお客になる団体を見つけたり、自分自身のやり方でお 客を募集できるようになった者に追い越され、去って行きました。仕事の基本を身につけて、知らない 人をお客として集めることが出来る者には、無限の集客可能性があります。仕事を覚えるためには、そ の仕事の基本的な部分を早く習得して身につけることが大切です。

仕事に就いたら最初は、まず仕事の基本を覚えることですが、次に大切なことは、仕事の中の創意工 夫です。今も昔も経営者は労働者を長く働かせて利益を得ることを考えることが多いです。ことに最近 の準大手企業では経営者が2代目あるいは3代目の場合が多くて、初代の経営者ほどの創意工夫が自分 でも出来ない場合が多いので、労働者の長時間労働に頼ることが多いようです。

 

しかし長時間労働による成果の上昇は創意工夫から得られる成果の上昇よりも確実ですが、その成果 上昇は少ない場合が多いです。1時間の仕事を2時間やっても2倍の成果が出ない場合が普通です。で すから2倍の成果を出すために3倍の仕事をさせることが多いです。

創意工夫は成果が確実に出るとは限りません。失敗することも多いです。しかし成功した場合は大きな 成果が出て数回の失敗を取り返しても利益が多く出る場合がよくあります。若い人にこそ長時間労働よ りも創意工夫から成果を出すような努力と訓練をして欲しいです。仕事の創意工夫で大切なことは仕事 の基本をはずれないことです。基本から離れた創意工夫は失敗することも多く、成功しても成果が色々 な意味でゆがんだものになる場合があるので注意してください。

 

人が社会に出て働くことは労働と賃金を通して社会に参加することです。働くことは何かの形で社会 に役立つことです。また仕事の賃金であるお金は社会の血液のようなもので、社会全体に上手く流通し ないと社会全体が混乱します。賃金を受け取り、何かに使うことも、重要な社会参加の一つの形です。

私が以前に働いていた旅行業で見れば、旅行を通して人々に慰労を与え、見聞を広め、人生を楽しいものにすることで、多くの人々に役立ち社会的にも意義があったと思います。正直な話、旅行を単なる金 儲けの手段としか思ってない経営者や従業員、旅行を歓楽的なものとしか思わないお客もいました。そ れでは仕事に誇りが持てません。だから良い旅行が作れず、本当に楽しい旅行が出来ません。

給料をどう使うかも大切です。遊びに使う人、勉強に使う人、社会のために使う人、色々いますが、た とえ小額でも社会で役立つことが多くあります。

世の中には職業そのものに貴賎は無いと思いますが、やっている人、その仕事を受ける人の心に貴賎 や差別はあると思います。若い人々には誇りを持って働き、社会の中で役立つよう生きて欲しいです。

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