【努力賞】
【テーマ:さまざまな働き方をめぐる、わたしの提言】
働く若者が輝く、三つの提言
神奈川県  宮澤誠一  66歳

過労死状態、中学校教員の勤務状況が報道された。私自身中学校教員だったので、実態がよく理解できる。部活の指導や大会などで、土・日も休めない状態のため、過酷な状況をつくりだしている。その立役者に若い教員が多い。若い教員の力は、必要不可欠である。若さゆえできることも多々ある。

若い頃、教育への情熱から、時を忘れて、教育談議に耽ったこともある。管理職・主任・先輩の先生方との語らいの場も多かった。悩みなどの相談もでき、意見・考えも実際に取り入れてくれたりもした。共に働く若者の意見・考えを聞くことは、教育現場以外でも大切なことだと考える。

そこで第一に、共に働く若者の意見・考えを聞く会(仮称:ヤングオピニオン会)を職場ごとに設置し、定期的に開催することを提言したい。働く若い世代は、ゆとり世代と言われるが、立派に産業・社会を支え、発展への原動力になっている。働く若者の意見・考えを生かし、職場さらには産業・社会をも活性化していこう。

気になることがある。3月31日の新聞に、「新しくかわる先生」などのタイトルで、教職員の異動が発表されるが、再任用の校長が多くなっていることだ。超高齢化社会を迎え、年金受給年齢も引き上げられ、教員志望者が減少したりなどが要因だろう。しかし、校長が定年後もそのまま留まっていては、副校長・教頭も留まり、さらには新卒の教員採用まで減少してしまう。臨任や非常勤を増やして、正規採用を少なくする傾向もある。これではますます新卒の教員志望者は、減少していく。情熱あるフレッシュな教員は、子ども達にも歓迎される。有能な副校長・教頭も昇任できなくなると、勤労意欲も減退していくだろう。明日の社会を担う人を育てる教育現場の活力減退は、社会全体を衰退させていく。そして教育現場以外の多種多様な職場でも、再任用・再雇用のあり方は、課題になっている。

そこで第二に、働く若者がより働きやすくするため、産業・社会が活力を失わせないようにするため、産業の構造・特殊性・関連性を全体的にとらえた、再任用・再雇用検討会をつくることを提言したい。働く若者、情熱をもち頑張っている方々が、意欲を失うことがないよう、再任用・再雇用を考えていこう。

さらに働き方が多様化している今、若者が働き方を学ぶ機会を充実させる必要がある。若者が個性を活かし、興味・関心に応じて、生き生きと働くことができるよう、計画的に職業教育をすすめていく必要がある。

小学校では職業調べ、中学校では職場体験など行われているが、高校・大学では不十分な状態だと思う。高校・大学の時期は、最も進路・職業について悩む時だろう。

そこで第三に、若者が働き方を学ぶ機会を充実させるため、さまざまな働き方体験などを、産学共同で企画・実施し、意図的計画なチャンス教育を実現することを提言したい。

中学校の教諭・教頭・校長と教職しか携わっていないが、働く若者の活力、素晴らしさは、十分理解している。働く若者は、輝いている。そして、輝きを失わせてはいけない。

65歳、高齢者の仲間入りをした今こそ若者が生き生きと働けることを願い、三つの提言をさせてもらったが、その前提として、指導者的役割の方々が、働く若者の力を認め、その力をさらに伸長させる責任があることをつけ加えて、提言を閉じさせてもらう。

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