【佳作】

無理をしないで…、精神障害を持つ私
徳島県  南扶実  37歳

統合失調感情障害、てんかん、社会性不安障害、抑うつ状態を持つ私は精神障害者2級である。

今まで、仕事のことではたくさん悩んできた。医療事務の資格を取得したりしてみたけれど、やはり同じところでずっと働くこと、働く時間が長いことが問題で、結局仕事には就かずに諦めてきていた。でも、何もしないでフラフラしているのも気が引けていた・・・。しかし、本当のところ、精神障害者の就職はとても難しいのである。

ある日、高校の後輩がビーズで作ったモチーフをプレゼントしてくれた。すごく可愛いい!!と感じた。私も作ってみたい!と思った。そして、早速ビーズアクセサリー作りを習いに行くことにした。母は私が病気になって以来、何をしても長続きしないことを知っていたので今回もすぐにやめてしまうだろうと思っていたらしい。

しかし、私は自分の得意分野をやっと見つけた!とばかりにのめり込んだ。

障害年金をいただいていたのでそのお金を使いながら次から次へと講師の資格を取得し、今では手芸講師、手芸作家となった。

最初は家の片隅で個人対象のビーズレッスンをしていたが、この頃は町の教育委員会からの依頼で学童保育の手芸講師、生涯学習講座のビーズ教室の講師も任されるようになった。

それでも、単発の仕事なので障害年金がなくては生活していけない程度の収入なのだが、手芸講師をすることでたくさんの人と出会い、楽しい日々を送ることができている。

生涯学習講座の前々日くらいからはどのように授業で教えればうまく伝わるだろうとシュミレーションは欠かさない。また、学童保育で手芸講師をすると子供たちの楽しそうな顔を見ることができてうれしい。子供たちの笑顔のために次は何を作る提案をしようかと学童の担当者と考えていくのもとても楽しい時間だ。

私は障害年金をいただいているので、このような単発の仕事でも生活していけるのだが、障害のため毎日仕事ができない私にとって、少ない仕事をいっしょうけんめい、でも楽しく仕事をさせていただいている気がする。

私はみんながみんな、楽しく仕事をしているわけではないと思っているし、手芸講師をしていてもどうしても気の合わない生徒さんに出会うこともある。そんな時、こちらから挨拶を先にする、できるだけ避けずに話をするようにするなどの努力もしながら楽しく仕事をするようにしている。

私が障害を気にせず手芸講師を始めることができた第一の基本は「誰にでも自分から挨拶をする」ということだ。これは日常生活にも役立っている。また第二に「できることとできないことをはっきりさせる」というものがある。この二つの基本を大切に私は仕事をしている。

これからの私は、精神状態をできるだけ良い状態に保ちつつ、手芸講師を中心に真剣に仕事と向き合って、できるだけ良い仕事をしていくことに重きを置きたい。

そして、精神障害者の皆さんに言いたい。

年金をもらいながらでもよいので、絶対どこかに自分の興味のある仕事があるということ、諦めないで自分のペースでできる仕事を探してね。

何もしないのと、少しでも仕事に携わっているのとでは生き甲斐が違うから…。

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