【 努力賞 】
【テーマ:仕事・職場・転職から学んだこと】
障害者雇用で私にできること
広島文教女子大学 西藤彩花 20歳

すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である (世界人権宣言) 。法で定められているのに、なぜ“障害者”というだけで、雇用に差が出るのだろうか。私は、障害者という言葉は好きではない。障害者の対義語はいうまでもなく健常者だ。なぜ同じ人間なのにこのような言葉で分別されなければならないのか、わたしは疑問に思う。障害者というくくりのために、就学にハードルがあることや、仕事に就くことに、多くの問題が現在起こっている。わたしは障害者雇用で辛い思いをした方からお話を聞いたことがある。その方は軽度の発達障害であったが、しばらくの間気づかなかったそうだ。診断を受け障害者手帳を取得し、障害者雇用の枠で転職をした。入社後、同じ部署の先輩にこう言われたそうだ。「あなたは健常者と変わらない障害者で、重度の障害者でなかったから良かった」と。上から目線のこの言葉に、その方は深く傷つき、自分を見る他人の目を気にするようになったと話されていた。このような差別的意見を正当な理論とでもいうような事態に、わたしは悲しく思い、このように思う人が少なからず社会にいることが信じられなかった。きっとその差別的発言は、継続的に行われているのではないかと思われる。日常的に「健常者」「障害者」という言葉を使い、「わたしとあなたは違う」と見下すようなこともあったと話されていた。わたしがその方の立場であったら精神的に参っていただろう。周りの人もそのような差別が起こっているとわかっておきながらも何もできない、何も言えないのが問題であると思う。わたしは障害者雇用で差別を経験した方のお話を聞いて、なぜ、このような事態が起こるのか考えた。就職する障害者側、受け入れる企業側、双方に問題があると考えた。

まず、障害者側としては、言い方が悪いかもしれないが、自分のことを理解してくれるはずと思い込んでしまうことが問題であると思う。受け入れる企業の職員の方、全員が全員理解してくれるとは限らない。その企業の環境、雰囲気も関係しているだろうと考える。受け入れる企業側の問題は、受け入れる体制が整っていないことだ。障害者枠で雇用をしているのにもかかわらず、教育や障害者理解を万全にしてないがために起こる問題でもある。双方がお互い、いい関係になりたいと思うならば、相互理解のための教育や啓発セミナーが不可欠なのだ。わたしは、障害者の方が経験された話を聞いて、自分なりに考えた意見を元に、今後もし障害者の方と一緒に仕事をする機会や交流する機会があれば、率先してその方の状況や病気について理解するための勉強会を開ける存在になりたいと思っている。問題の根はいつも人間の心にあると感じている。人の心に働きかけることこそが、前に進むための一歩だと信じている。

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