【 佳 作 】

【テーマ:私が今の仕事を選んだ理由】
きっかけは、いつも身近なところに
沖縄県 與儀滝太 25歳

私は、現在、社会教育施設の「沖縄県立青少年の家」で働いています。

大学に入学し、アルバイトや遊びに夢中になりながらも、心の片隅には、「このままでいいのか」という思いがずっとどこかにありました。そんな時、高校を卒業してハワイの大学に進学した友人が夏休みに沖縄に帰省しました。夢に向かって走り続け、楽しそうに話をする友人との食事を終えた私は、大学休学を決めました。そして、ワーキングホリデーを利用して、オーストラリアに旅立ちました。滞在中に寿司屋やガーデナー(庭師)として働き、資金を貯めて、メルボルンやシドニー、ケアンズそれからタスマニアを旅しました。高校生の頃から胸に秘めていた「海外で暮らしてみたい」という思いを実現したと同時に、大学を休学して、「気づいた」ことがありました。それは、大きく二つあります。一つ目は、「大学生は、時間がある」。そして、二つ目は、「チャンスは、たくさんある」ということでした。

大学に復学した私は、地域と大学生を繋ぐ中間支援活動を行う学生団体を立ち上げ、ワークキャンプ等の企画・運営をしてきました。その活動を通して、地域の方と交流する機会が増え、多くのことを学びました。将来は、学校現場で「英語教員」として働くことを決めていましたが、地域での活動を通して親や子ども達そしてそれを見守る方々が全員で「豊年祭」、「子ども祭り」をする様子を見て、「社会教育の可能性」を感じました。

国の調査では、沖縄県において、ニート、ひきこもり、不登校等の教育課題が深刻化しているという現状が報告されています。若者無業者いわゆるニートは、対象人口千人あたりの比率では全国1位となっており、ひきこもりの相談件数も増加傾向にあります。より深刻化しているのは、不登校の問題で、小学校から高校に進学するまでに、全国2位の人数にまで増加しているという調査報告が上げられており、卒業後の進路未決定率に関しては、中学校の2.9%、高校の15.1%共に全国1位となっているのが現状です。これらの沖縄県が抱える教育課題は、学校教育だけではなく、地域コミュニティなど多方面からの課題解決に向けた取り組みが必要となってくると私は考えました。昨今では、地域および家庭の教育力の低下や生活スタイルの変化に伴い、地域コミュニティの希薄化が進行しているのが指摘されており、私自身が行ってきた地域における活動でも、地域コミュニティの希薄を感じる場面もありました。

競争から協働へという声が多く上がるなかで、今後は、地域コミュニティの再興が教育には欠くことのできない事になると考え、「地域」と「学び」を繋ぐ、社会教育施設である青少年の家で働くことを決めました。現在、ボランティア・国際交流事業担当として働き、地域の保育園児を招いての「七夕まつり」やハワイやタイ、アルゼンチンなどの留学生による「母国紹介パネル展」等を行い、地域を巻き込んだ教育活動を展開しています。

「決める」きっかけは、意外にもいつも身近にありました。

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