公益財団法人 勤労青少年躍進会 理事長賞

【テーマ:私が実現したい仕事の夢】
私の『はなまる計画』
愛知県立岡崎高校 野中光 17歳

私の夢は人の役に立つこと、そして世界のムダを省くことだ。

「僕の夢は、一度でいいからおなかいっぱいご飯を食べることです。」そう言ったアフリカの男の子の姿を私はきっと一生忘れない。私は日々考える。貧困、温暖化、エネルギー資源の枯渇など今世界が深刻な問題に直面している中、私たちはどうしてこんなにものうのうと暮らしていられるのだろうかと。私たちはそれらの課題を他人事とみなし、危機感などまるで抱いていない。だからこそ簡単に資源をムダにし、食糧を捨て、徹底した貧困対策も実行しない。

私は小学生の頃、マザーテレサと共に活動していた女性の講演を聞いた。その話の中で彼女は「テレサは機長さんに、処分する機内食を譲ってくださいと必死に交渉しました。」と言った。私はその時強い衝撃を受けた。貧しい国に最も安く、効率よく、安定的に食糧を提供する方法は機内食だったのかと初めて気づいた。なんて合理的でかつ、行動力のある人だろうと心の底から感動したのだ。

それからというものの、日常生活の中でいろんなムダが目に留まるようになった。毎日大量の給食の残飯を見て、スーパーで処分される売れ残りの量を聞いて、大量の野菜が出荷される前に廃棄されるのを目の当たりにして、私は苦しくなった。日本は資源がないないと嘆きながら、膨大なエネルギーを費やした食糧を惜しげもなく廃棄している。ああ、なんてことだ、もったいない、あの男の子に申し訳ない、そう思った。そこで、自分がマザーテレサになったつもりで考えた。きっと何かに利用できるはずだ。給食のご飯でおにぎりを作って貧しい国の子供に送るのはどうか。賞味期限が少しくらい切れたって、レトルト食品や缶詰は衛生的に何の支障もない。価格調整のために破棄される野菜でいったいどれだけの命が救えるだろうか。様々な考えが私の頭を駆け巡る。世界のムダを省き、物資を必要なところへ廻すシステム、これこそが今の世界において重要なのではないかと考えた。また、これこそ私が本当に実現したい『仕事』ではないかと思えた。そう思えたとき、私の仕事は無限大だ、とわくわくした。

だが実際、ただ思うだけでは何にも始まらない。私の『仕事』を実行するには、まずはお金がいる。ある人はこう言った。「金がないのに支援だ、復興だというのは、現地では単なる無責任だ。」と。その通りだと思う。だからわたしはお金を稼がなければならない。だから私は、求める『仕事』のために、お金を稼ぐ別の仕事を喜んで全うする。栄養失調で命を失う世界と食糧を簡単に捨てる世界との矛盾を前にして、自分の無力さを痛感するのだけは何としてでも避けたい。

私は『仕事』を通して人の役に立ちたい。決して綺麗ごとなんかではなく本気でそう思う。いや、むしろこれは自分自身のためだ。努力次第で少しでも改善できるかもしれない現実を、そのまま黙って見過ごしたら、私はきっと後悔する。自分の目指す『仕事』を自分への天命だと思って、いつか必ず成し遂げてみせる。

私は何不自由なく生きてきた。人から今までに与えてもらった分の幸せを、これからの人生で少しでも返していきたい。それができたら自分は、はなまるだと思う。

戻る