【 佳 作 】

【テーマ:私が今の仕事を選んだ理由】
輝け瞳!『ワーク・ライフ・バランス』
兵庫県 梶田えり 48歳

『ワーク・ライフ・バランス』この言葉が世に出てから久しい。当時独身で仕事一筋であった私は「ふぅーん」、という冷めた感じで受け取っていた。どこか自分とは関係のないことのように思えていたのである。

それから数年。結婚し、夫の転勤に伴って退職。その後出産。そして子育てをする中でこの言葉が俄然輝き始めたのである。

再就職したい。家事・育児をしながら務めるには・・そして自分に出来る仕事とは。

子供が小学校に入学してはじめてわかる学校活動の多さ。のっけからPTA役員となった為小学校行事への参加がある。またこれまでの地域での活動や子供会の活動も含めると、そういったことをクリアした上で、自分に合った仕事ってあるのだろうか・・。

そんな折、小・中学校の図書室での司書募集を知った。朝8時30分〜3時30分までの勤務。勤務校も家から近い。これなら子供を見送って、または朝の“登校見送り隊”といった活動をしてから出勤可能だ。帰りも4時には家に着く。夕食の支度や子供の宿題をみる時間もある。それになんといっても大好きな本に関わる仕事だ。『本離れ』、なんて言わないでぜひ素晴らしい世界を一人でも多くの人に知ってほしいと常々思っていた。そういったことに携われるのだ。

はてさて、そうは思っても主婦からの一念発起、採用されるか否かはわからないが、気合を入れて面接に臨んだ。

無事合格となり、司書として働き始めた。
しかし、図書室での仕事ってかなり多岐にわたっている。図書の整理・季節の展示物・図書だより・おすすめの本コーナー・貸出・お話し会。どれも初めてのこと故大変だ。でも、季節の展示物は学童の壁にある張り紙を参考にさせていただいたり、ウィンドーショッピングでの季節感ある飾りを真似したりで今までと全く違った角度で物事が見えてきて新鮮。お話し会も、どのような声の大きさや調子で語りかければ、子供達の目を輝かせることが出来るか必死に音読。ストーリーテリングの方々の話しを聴いて勉強。錆びついた脳みそを鍛えてグリム童話の一遍を暗記するのに1週間もかかった。でも、子供達から

「今日は、あるの?」

と催促の声をかけられると、よーし、頑張って暗記してみようゾ、といつになく気合が入る。そしてお話し会第一号は、夜の読み聞かせで眠る我が子。

「お母さん、今日も読んで」

これが寝る前の挨拶となってきている。この時間を大切にしつつ明日の仕事を頑張ろうと思う。

『ワーク・ライフ・バランス』この言葉が輝いてくる。生活リズムも整えながら、仕事に打ち込める今の環境。感謝しつつ、本の素晴らしさを子供達に伝えて、輝け瞳!になってもらおうと奮闘している。

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